診断 問診と触診によって、多くのことがわかります
血液検査や検査機器の開発で、甲状腺の病気の診断法は飛躍的に進歩しています。
それでも問診や触診は、基本中の基本。医師は、患者さんの首のはれ一つからでも、多くの情報をキャッチし、それが診断・治療のための重要なデータとなります。
「問診」では、患者にしかわからない情報を伝える
ほとんどの病院が問診票を用意していますので、患者さんはあらかじめそれに記入します。聞かれるのは、次のような項目です。
●自覚症状
甲状腺機能亢進症、あるいは甲状腺機能低下症に特有の症状があるかどうか。ある場合は、それに気づいたのはいつごろか、などを記入します。
●家族歴
両親、祖父母、兄弟姉妹などに、バセドウ病や橋本病など甲状腺の病気をわずらった人がいるかどうか、可能な範囲で調べておきましょう。
●生活習慣
特に喫煙や飲食の習慣については重要。タバコは、バセドウ病の発症寛解(かんかい)率や眼球突出にかかわりますし、肝機能は、甲状腺機能の異常に影響されます。
●薬の副作用
過去に、抗甲状腺薬を服用してアレルギーなどの副作用が起こったことがある場合は、治療方針を左右しますので、必ず記入します。
ポイント 気になる症状、家族歴、薬の副作用など、医師に説明しやすいよう、あらかじめメモにして持参しましょう。
「触診」は、医師の手でふれてはれやしこりを調べる方法
甲状腺は、胃や心臓などの内臓と違い、体の表面にあり、皮膚の上からふれることができる臓器です。熟練した医師の手でさわると、さまざまな情報がキャッチできます。ここに触診の意味があります。
はれの大きさを見たり、さわって拍動(はくどう)や弾力の状態をたしかめると、バセドウ病かどうかが判断できます。しこりがある場合は、大きさ、かたさ、動き、数、圧痛(あっつう)の有無をたしかめます。
このように、大体のところを把握することで、次にどんな検査が必要か、どんな数値を中心に見るか、といったことがわかりますので、不必要な検査を行わなくてすむことがあります。