スクリーニングとしても有効なTSH検査
TSHは甲状腺ホルモンより敏感に機能を反映する
甲状腺機能を見る方法として、血液中の甲状腺ホルモン(フリーT4とフリーT3)の濃度を調べる検査があります。
甲状腺の機能は甲状腺ホルモンだけでなく、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)からも調べることができます。
TSHは、脳下垂体から分泌され、甲状腺ホルモン(T4、T3)が体の中で一定のバランスを保つように調整しています。
血液中の甲状腺ホルモン(フリーT4、フリーT3)が、正常な状態より少しでも増えてくると、TSHの分泌は減ります。逆に正常な状態より下回ると、TSHの分泌量が増えて、甲状腺ホルモンをつくるように促します。
このように、TSHは、フリーT4やフリーT3の量を敏感に反映して分泌量が増減しますので、TSHの数値を見ることで甲状腺機能がわかるわけです。
TSHの数値は、たとえば甲状腺ホルモンの分泌量が過剰になるバセドウ病では、測定できないほど低くなります。
一方、橋本病で甲状腺ホルモンが不足してきている場合は、TSHの数値が上がってきます。
TSH検査だけでも、未発見の病気がチェックできる
TSH検査は、一般的には甲状腺ホルモン(フリーT4、フリーT3)を調べる検査といっしょに行われます。
ところで、TSHは、血液検査ではフリーT4やフリーT3よりもはるかに鋭敏な反応を見せます。つまり、まずTSHだけを調べれば、甲状腺ホルモンまで測定しなくても、病気をスクリーニングすることができるわけです。
そのため、まだ気づいていない甲状腺の病気を見つけ出す方法として、TSH検査の有効性が注目されているのです。
現在、このTSH検査を健康診断の一項目として加える試みが、いくつかの人間ドックや健診センターでつづけられています。
ちなみに、ある人間ドックでTSH検査をしたところ、200人中100人に甲状腺機能低下症が発見されたという報告もあります。この100人は、TSH検査を行わなかった前年までの健康診断では正常とされていた人たちでした。
甲状腺刺激ホルモンの機能検査・基準値
TSH 0.35~3.80μU/ml
※基準値は医療機関によって異なる場合があります
※μ(マイクロ)は100万分の1。U(ユー)は定量のときの基準