甲状腺の病気があると、生活のリズムが乱れがち

バセドウ病の人によく見られるのは、過剰な甲状腺ホルモンが気分を高揚させ、特に夜になると調子が出て活発に動きまわる。空腹になるので、夜遅く食事をする。逆に朝はボーッとして起き上がれなくなる……このような「昼夜逆転」の悪循環に陥り、だんだん修復がむずかしくなるのです。
橋本病の場合は、甲状腺機能が低下していると、だるくて何もする気が起こらず、いつも眠くて昼間から横になったりします。いまが夜なのか昼なのか、わからないような生活になりがちです。

規則正しい生活にしないと病気はよくならない

私たちの体には「体内時計」が備わっていて、食事や睡眠などをコントロールしています。
しかし体内時計のリズムは、不規則な生活をしていると、どんどん乱れてきます。体内時計は、自律神経やホルモン分泌などもコントロールしているため、このリズムが乱れると、自律神経やホルモンの働きも乱れます。
当然、甲状腺の病気にも影響します。不規則な生活をしている限り、抗甲状腺薬を飲んでも効果は上がらず、症状も改善しません。
甲状腺の病気の人は“意識して”毎日の生活リズムをととのえていかないと、体調はよくなりません。「規則正しい生活」は、療養生活のポイントともいえる、大切なことなのです。

1. 食事は3食、決まった時間に

体内時計は、脳の視床下部にあり、目から入って脳へ届けられる「光の信号」や、食事によって上がる「血糖値上昇の信号」でコントロールされます。
朝昼夕の食事を、大体決まった時間にとると、血糖値の信号も決まった時間に届けられ、体内時計のリズムが規則正しく刻まれるようになるわけです。特に、朝食は大切です。一日の始まりに早く血糖値を上げることで、その日のリズムがつくりやすくなります。

2. 夜は12時前に床につく

睡眠時間も一定にしましょう。眠るのは、その日のうちに。少なくとも12時前には床につくようにします。夜の睡眠は十分に。夜は、体内時計をコントロールするメラトニンというホルモンが、昼間より多く分泌されます。メラトニンには、乱れた体内時計のリズムをリセットする働きがあります。

3. 早起きして朝の日光を浴びる

昼夜逆転の生活を変えるには、早寝する以上に早起きすることが大切。毎朝決まった時間に起きて、窓を開け、太陽の光を浴びるようにします。朝の光は脳へ届けられ、体内時計をリセットして、心身の働きを目覚めさせます。 

医療法人社団金地病院