細胞は、針を刺して吸引。微小なものはエコーで見ながら

甲状腺に腫瘍ができている場合は、それが良性か悪性かを見きわめる必要があります。
くわしい診断のためには、細胞診を行います

●穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)

細胞組織の採取は、注射器で行います。針は直接、腫瘍に刺し、吸引します。時間は数秒で、採血で使用する針を使うので、痛みは少なく、麻酔の必要はありません。なお、奥まったところにある病変や、さわってもわからないほど小さな腫瘍は、超音波(エコー)画像で確認しながら吸引します。
採取した細胞は、病理医が顕微鏡で見て、良性・悪性を判断します。甲状腺悪性腫瘍には、いくつか種類がありますが、乳頭がんはほぼ100%、この方法で診断がつきます。髄様(ずいよう)がん、未分化がんの判別、悪性リンパ腫の判別にも有効です。
しかし、腫瘍が石灰化してかたく小さな場合は、針が細いため1回では取れないことが多く、そのような場合は細胞診をくり返します。
なお濾胞がんの診断は、細胞診では困難です。

●腫瘍マーカー

体内に腫瘍があると、その腫瘍がつくる物質が、血液や尿中に出ます。このような物質を腫瘍マーカーといいます。
甲状腺の腫瘍マーカーはサイログロブリン(甲状腺ホルモンをつくるために欠かせないたんぱく質)で、血液検査で調べることができます。
ただし、腫瘍マーカーだけで診断することは困難です。
サイログロブリンは、甲状腺がんで甲状腺を全摘(ぜんてき)手術をしたあと、治療効果の判定や、再発・転移を調べる際にも使われます。

医療法人社団金地病院