甲状腺の内部が画像化され、腫瘍のすみずみまでわかる

甲状腺の腫瘍を診断する上で、画像検査は非常に重要です。
機器の進化は目覚ましく、腫瘍の大きさや形、性質、内部構造、さらには血液の流れまで調べることができるようになっています。

●超音波(エコー)検査

触診とともに、すべての甲状腺疾患を診断する上でいちばん必要な検査です。
人間の耳には聞こえない超音波を、調べたい部位に送り、はね返ってくる反射波をコンピュータ処理して、画像化します。
組織の断層がそのまま画像として映し出され、甲状腺の大きさや炎症状態、腫瘍の存在の有無、腫瘍の位置、大きさ、数などがわかります。
形状所見から、腫瘍の性質が良性か悪性か、あるいはリンパ節への転移がないかどうかを判断することが、この検査でもっとも重要な点です。
外からふれることができない、ごく小さなしこりも見つけられるので、早期発見にも役立ちます。
また、カラードプラーを使って、甲状腺機能および腫瘍の血流の状態を見ることで、病気の程度や甲状腺機能亢進症の鑑別診断がある程度できるようになりました。
※放射線を浴びないため、何回でもくり返し行えます。妊娠中でも受けられ、安全です。
※検査時間は5分程度。超音波を通しやすくするため、首にゼリーを塗りますが、検査が終われば、すぐふきとります。

●シンチグラフィー(シンチグラム写真)

甲状腺がヨウ素を取り込む性質を利用する検査です。ヨウ素と同じ性質を持つ放射性ヨウ素のカプセルを飲み、甲状腺に集まるヨウ素から出る放射線をシンチカメラでとらえて画像にします。
超音波検査の発達で、あまり使われなくなりましたが、病気によっては必要な検査です。
甲状腺機能亢進症の原因の鑑別診断と、プランマー病(機能性結節)の診断には重要です。
※服用する放射性ヨウ素は微量ですから、副作用の心配はありません。ただし、妊娠中や授乳中の女性には行いません。

●MRI、CT、X線

超音波検査では見ることができない気管の後方を調べたり、石灰化した腫瘍の周囲や、縦隔内の病気の状態を見ます。
腫瘍の進展範囲や、周囲の臓器(気管、食道、血管、リンパ節など)への影響を把握するのに最適な検査です。

医療法人社団金地病院