内分泌とは、ホルモンをつくり体中に届けるしくみ

ホルモンは、ギリシャ語で「刺激する」という意味です。人間の体の働きを調節し、健(すこ)やかに生きていく上でなくてはならない物質で、1902年に発見されました。私たちの体には、ホルモンをつくって、体内の必要とする部分へ送り届けるシステムが備わっています。これが「内分泌」です。
内分泌器官はいくつもありますが、甲状腺は、その中でもっとも大きな臓器です。
この甲状腺でつくり、貯蔵され体に分泌されているのが甲状腺ホルモンです。成長や発育には欠かせないホルモンで、たんぱく質、脂肪、炭水化物などの栄養素や水分の代謝や、エネルギーの産出を調整しています。また、骨や筋肉から精神・神経系に至るまで、すべての臓器、細胞が影響を受けます。
甲状腺ホルモンとは、いってみれば全身の「元気の源」となるホルモンなのです。
ホルモンには、甲状腺ホルモン以外にもさまざまな種類があります。代表的なものには、次のようなものがあります。

  • 副腎皮質から分泌されるホルモン(コルチゾール、アルドステロン)…生命維持や、血圧に関係。
  • 卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)…女性らしい体をつくり、月経、妊娠、出産に関係。
  • 精巣から分泌される男性ホルモン(テストステロン)…声変わりなど男性の第二次性徴をもたらし、精子をつくる。
  • 膵臓(すいぞう)の中にあるランゲルハンス島から分泌されるホルモン(インスリン)…糖質をエネルギーに変え、血糖を下げる。働きが低下すると糖尿病になる。

これらのホルモンの働きは、脳の下垂体(かすいたい)によってコントロールされています。

MEMO

  • 内分泌と外分泌の違い

    体には「内分泌」と「外分泌」という2つのしくみがあります。
    外分泌(腺)とは、汗(かん)腺、唾液(だえき)腺、乳腺、消化腺といった「導管(どうかん)」と呼ばれる管を通し、汗、唾液、消化液(胃液)などの液体を体外に分泌するしくみです。
    一方、ホルモンをつくって分泌する臓器が内分泌腺で、そこでつくられたホルモンは導管ではなく、血液を循環して目的の臓器の細胞に入って働きます。このような分泌のしかたを内分泌といいます。

医療法人社団金地病院