原料になるヨウ素は食べものから摂取する

甲状腺ホルモンはヨウ素を材料に、甲状腺でつくられます。ヨウ素は微量栄養素の一つで、昆布やわかめなど海藻類に多く含まれています。
食べものから体内に入ってきたヨウ素は、血流を通って甲状腺細胞に取り込まれます。
※甲状腺細胞は、細胞どうしが結びついてボール状になります。このボール状のものを濾胞(ろほう)といい、甲状腺は濾胞が集まってつくられています。
ヨウ素は、濾胞内の糖たんぱく(サイログロブリン)によって甲状腺ホルモンとなり、濾胞の内部(濾胞腔(くう))に貯蔵されます。貯蔵される甲状腺ホルモンは約2カ月分。必要に応じて血液中に分泌されます。濾胞は、甲状腺ホルモンの生産工場であり貯蔵庫でもあるわけです。

甲状腺のホルモン分泌は脳によって調節される

甲状腺ホルモンは、体内のほとんどの臓器に影響をあたえる重要なホルモンです。量が多すぎても少なすぎても、体の具合が悪くなります。
そのため、血液中のホルモン濃度をきちんとコントロールする必要があります。これを行っているのが脳で、特に中心的な役割を果たしているのが下垂体です。
下垂体には、血液中の甲状腺ホルモン量を感知するセンサーがあり、甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって、甲状腺ホルモンの量が正常に保たれるようにバランスをとっています。
TSHは、血液中の甲状腺ホルモン量が少なくなると、甲状腺に対してもっとホルモンをつくるよう促すために多くなります。逆に、ホルモンの量が多くなると、TSHの量は抑えられて低くなり、それにともない甲状腺ホルモンの分泌量も減ってきます。
さらに、下垂体の上層部にある視床下部(ししょうかぶ)にも甲状腺ホルモンの量を感知する機能があり、下垂体へTSHの分泌を促す甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)を分泌します。TRHによって、間接的ながら、甲状腺ホルモンの合成・分泌にかかわるのです。
甲状腺は、脳の下垂体と視床下部という2つの司令塔による絶妙なコントロールシステムのもとに働いているわけです。

医療法人社団金地病院