甲状腺にできる腫瘍の治療は、こう進めます
腫瘍による「はれ」は部分的甲状腺機能は、大部分が正常
甲状腺の腫瘍は、良性・悪性合わせて3タイプがあります
甲状腺の病気になると、ごくまれなケースを除き、多かれ少なかれ甲状腺がはれてきます。
甲状腺の「はれ」は、専門的には「甲状腺腫」といい、病名ではなく、症状を指す言葉です。
甲状腺腫は、大きく分けて2つです。
●甲状腺全体がはれる
バセドウ病や橋本病のような、ホルモン機能の異常で起こる甲状腺腫が「びまん性甲状腺腫」です。甲状腺が、そのままの形で、全体に大きくはれてきます。
●しこりができ、一部がはれる
甲状腺にしこり(結節)ができて一部がはれる状態を「結節性甲状腺腫」といいます。多くの場合、甲状腺の機能は正常です。
腫瘍の多くは良性悪性のがんも性質はおだやか
甲状腺にしこりができると聞くと、悪性のがんを心配する人が多いようですが、結節性甲状腺腫のほとんどは良性の腫瘍です。
結節性甲状腺腫には、3タイプがあります。
甲状腺良性結節
●濾胞腺腫
甲状腺にできる良性の腫瘍で、甲状腺濾胞(ろほう)上皮細胞の増殖で腫瘤(しゅりゅう)となったものです。甲状腺の左葉(さよう)か右葉(うよう)の片側に、1つしこりができます。
●腺腫様甲状腺腫
腺腫様(せんしゅよう)甲状腺腫は、甲状腺内に2つ以上のしこりができるものです。同じ性質のもので、しこりが1つの腺腫様結節もあります。
腺腫と腺腫様甲状腺腫とは、病理学的には違うものです。腺腫は「腫瘍」(組織・細胞がみずから増殖)、腺腫様甲状腺腫は「過形成(かけいせい)」(細胞の数がほかからの刺激で増える)と区別されます。
●嚢胞(のうほう)
しこりを包む袋の中に液体がたまり、水を入れたゴムまりのような状態になります。大きくなった嚢胞を、首の外からさわると、ピンポン玉のような感触があります。
機能性結節(プランマー病)
TSHの調節がきかず、しこりが独自にホルモンを過剰に分泌します。ほかの良性結節とくらべ、日本ではまれな病気です。
甲状腺悪性腫瘍
甲状腺にできる悪性のしこりの大部分は、がんです。
甲状腺悪性腫瘍には、「乳頭がん」「濾胞がん」「髄様(ずいよう)がん」「未分化がん」と、「悪性リンパ腫」があります。80~90%は、性質のおとなしい乳頭がんです。