しこりの性質や種類を画像検査と細胞診で調べる

1980年代に、超音波検査と細胞診ができるようになったため、しこりが良性か悪性かの診断がしやすくなりました。
甲状腺にできる腫瘍の大部分は良性のもので、悪性腫瘍は5%程度です。また、たとえがんだとしても、ほとんどは、おとなしいタイプのものです。
しかし、数は少ないものの、悪性度の高いがんもあります。
そのため、診断では、しこりがどのような性質のものかを調べ、良性か悪性かを見きわめることが非常に大切です。

●しこりの触診

一般的に良性の腫瘍は、触診をすると表面がツルツルとしていてやわらかく、くりくりと動きます。
一方、がんの場合はかたく、表面が凸凹(でこぼこ)としていて、周囲の組織と癒着(ゆちゃく)しているため、あまり動きません。

●超音波(エコー)検査

腫瘍を調べる上で、もっとも必要な検査です。しこりの大きさ、数、形、ほかの組織との境界、血液の流れなどを見て、良性か悪性かをかなり正確に知ることができます。悪性の場合はリンパ節への転移などもわかります。
甲状腺を調べるためには、専用の探触子(たんしょくし)(甲状腺をさわるための部品。プローブ)と、画像を見るために経験を積んだ専門医が必要です。

●MRI、CT、X線

腫瘍が、食道や気管など周囲の組織にどんな影響をおよぼしているかを見ます。

●シンチグラム写真

甲状腺の形や、腫瘍の大きさ、性質を見ます。

●穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)

細い針がついた注射器で、しこりから直接、細胞を吸引し、専門の病理医が良性か悪性かを判断する検査です。良性腫瘍との区別や、甲状腺悪性腫瘍の種類の鑑別もできますが、濾胞(ろほう)がんの診断は困難です。
触診でもわからない小さなしこりは、超音波(エコー)でしこりを確かめながら、吸引する場合もあります。5mm程度の微小ながんも、確実に診断できます。

●血液検査

甲状腺にしこりができても、ほとんどの場合、甲状腺機能は正常です。ただし、プランマー病のように、しこりができて、甲状腺機能が亢進する病気もあります。正確に知るために、血液検査でホルモン濃度を測定します。

甲状腺のしこりは、ゆっくり大きくなりますので、かなり大きくならないと自分では気づきません。

医療法人社団金地病院