しこりが1つの「腺腫」 ほとんどは経過観察だけでよい

結節性甲状腺腫のうち、しこりが1つできるのが腺腫です。良性の腫瘍で、がんとは違い、急激に大きくなったり転移することはありません。がんに変化することもありません。
しこりの大きさには個人差があり、さわってもわからない程度のものから、じゃまになって下が向けなくなるほど大きくなる場合もあり、こうなると周囲の気道や食道を圧迫してきます。
甲状腺ホルモンの機能には異常がなく、首のはれ以外に、きわだった症状は起こりません。
そのため、良性のしこりが3cm以下で、あまり大きくない場合は、治療の必要はなく、経過を見ていくだけでだいじょうぶです。しこりが大きくなると(3cm以上)、手術をすすめられることもあります。

しこりが2つ以上の「腺腫様甲状腺腫」腺腫よりも大きくなる性質がある

甲状腺の細胞の数が増え、しこりが2つ以上できるのが腺腫様甲状腺腫です。同じ性質のもので、しこりが1つのものもあり、腺腫様結節といいます。
腺腫と同じく良性のしこりですが、性質が異なります。腺腫は腫瘍ですが、腺腫様甲状腺腫は過形成(かけいせい)です。
腺腫様甲状腺腫が、がんに変化することはありません。ただし、がんと合併することはあります。
腺腫とくらべ、しだいに大きくなる性質があり、鎖骨(さこつ)より下の胸のほうまで、しこりがたれ下がってくる場合もあります(縦隔内(じゅうかくない)甲状腺腫)。このようになっても、息苦しさはありません。

液体のたまった袋状の「嚢胞」吸引すると小さくなる

超音波(エコー)で見ると、腺腫の場合は中に細胞がぎっしり詰まって充実していますが、嚢胞は液体がたまって見えます。
嚢胞は、しこりの中身が液状になるのです。液体の内容物は、ほとんどが水や血液です。透明な黄色をしているものから、血液のかたまりがまじったチョコレート様のものまで、さまざまです。
基本的に症状はないのですが、中で出血している場合、まれに痛むこともあります。
嚢胞は、針を刺して中の液体を吸い出すと、しこりを小さくすることができます。

医療法人社団金地病院