機能亢進症と機能低下症の症状の違い
「活力の源」の過剰か不足かで、正反対の症状があらわれる
甲状腺の病気は、症状だけで自己判断することは禁物です。医師にきちんと診断してもらうことが必要です。症状について正しく知ることは、病気を発見するきっかけになりますし、病気を理解する助けになりますので、大切です。
甲状腺の病気の症状は、機能亢進症と機能低下症とでは、まったく逆のあらわれ方をします。なお、腫瘍性の病気の場合は、首のはれ以外には症状が出ないことが多いため、ここではふれません。
機能亢進症の症状
●もっとも多い心臓の症状
胸がドキドキしたり、脈が速くなります。脈拍は、走ったり、階段や坂を上がったりするとさらに速くなり、上がれなくなります。
●食べるのにやせる
食欲が高まり、よく食べますが、やせてきます。下痢が激しくなることも。
●疲れやすく、筋力が落ちる
ものを持つ腕に力が入らない、和式トイレで立ち上がれない(しゃがみ立ちできない)、など。
●手指のふるえ
ふるえは手指下肢(かし)にもおよび、ひざがカクカクすることも。
●暑がりになり、汗をかく
口が渇(かわ)きやすく、皮膚はいつも湿ったようになり、微熱が出ることも。
●イライラする
精神的に不安定で興奮しやすくなったり、集中力がなく、落ち着かなくなります。
●脱毛する
爪の先が白くなったり変形したり、皮膚が黒くなってかゆみが出ることも。
●月経の量が減る
月経が不順になる、周期が長くなる、ときには無月経になることも。
●眼球が飛び出す
一部の人にあらわれる眼症。また、まぶたがむくむ、まぶたがつり上がるため目が見開いたようになる、複視(ふくし)のためものが二重に見えたりすることも。
機能低下症の症状
●体が重く、だるい
疲れやすくなり、無気力に。心身ともにボンヤリして、動きがゆっくりとなります。
●脳の働きが落ちる
記憶力が低下したり、ろれつが回りにくくゆっくりと話す、いつもウトウトと眠くなる、など多くなります。
●むくみ
全身にあらわれ、特にまぶた、くちびる、口の中の粘膜に出ると、独特の顔つきに。声帯もむくむため、声がかすれることも。
●寒がりになり、汗が少ない
皮膚はカサカサに乾き、冷たく蒼白(そうはく)になり、体温が低くなります。
●食欲がなく、便秘がち
代謝が落ちるため、あまり食べないのに体重は増えます。
●初めは月経量が増える
ただし重症になると、月経不順から無月経になります。
●脱毛する
髪の毛がバサバサになり、眉が薄くなります。