タバコは病気へのリスクが高く、治療にもマイナス
タバコは、嗜好品の中でもっとも害が多い
喫煙が、甲状腺の病気に大きな影響を与えることは、さまざまな研究で明らかになっています。嗜好品の中で、タバコはもっともリスクの高いものです。
喫煙の影響
機能低下症発症のリスク
タバコの煙に含まれる化学物質チオシアネートは、甲状腺がヨウ素を取り込むのを妨げる作用があります。そのため、甲状腺ホルモンがうまくつくれなくなり、甲状腺機能低下症が起こりやすくなります。
バセドウ病発症のリスク
喫煙者は非喫煙者にくらべて2~3倍、バセドウ病にかかるリスクが高くなります。
甲状腺肥大のリスク
喫煙者は非喫煙者より、甲状腺が肥大しやすい傾向があります。
眼球突出のリスク
喫煙者は眼球突出の危険が高まります。はっきりした因果関係は不明ですが、チオシアネートのような化学物質が、異常な免疫反応を引き起こすのも一因になると考えられます。
治療効果を下げる
バセドウ病の人が喫煙していると、抗甲状腺薬の効果が弱まります。また、バセドウ病眼症のステロイド治療や、放射線照射治療の効果があらわれにくくなります。
禁煙は焦らずゆっくりと周囲の協力も大切
このように、喫煙が甲状腺の病気にとって有害であることは、はっきりしています。ぜひ、禁煙するようにしてください。
ただし、タバコには抗不安作用があるため、急激にやめると不安感が高まります。欲求を無理に抑えると、ストレスになることもあります。禁煙用グッズなどを使って、ゆっくり行うようにするとよいでしょう。
禁煙外来に通う方法もある
最近は、「禁煙外来」を設ける医療機関が増えています。保険適用となる場合もありますが、適用条件がありますので、相談してみてください。
受動喫煙もリスクになる
甲状腺の病気には、受動喫煙(他人が吸っているタバコの煙を吸うこと)もリスクになると考えられています。家族など周囲の人には、病気をよく理解してもらい、協力を頼みましょう。
人が吸っているタバコの煙も、甲状腺の病気には害になります。家族にも協力してもらいましょう。