バセドウ病の検査では、どんなことを調べるのでしょうか
症状のチェックと、血液検査のポイント
バセドウ病は、かつては発見しにくい病気でしたが、最近は検査法が進み、見つけやすくなっています。
●症状
症状は、病気を知るための重要なサインです。バセドウ病ではさまざまな症状があらわれますが、特に、触診(しょくしん)からは多くの情報を得ることができます。
●甲状腺ホルモン検査(T3、T4)
血液中の甲状腺ホルモン量を調べる検査です。
バセドウ病は、甲状腺ホルモンを必要以上につくりつづけてしまう病気ですので、必須の検査です。
たんぱく質と離れて遊離することで、初めて甲状腺ホルモンとして働く遊離型のフリーT4(サイロキシン)とフリーT3(トリヨードサイロニン)の数値が重要です。
基準値より高いと、バセドウ病が疑われますが、甲状腺ホルモンが過剰になる病気はほかにもあります。
●甲状腺刺激ホルモン検査(TSH)
甲状腺ホルモンは、脳下垂体(のうかすいたい)から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)により、一定の量が保たれるよう調節されています。しかし、バセドウ病になって甲状腺ホルモンが過剰になると、逆にTSHは減ります。そこでTSHの数値が低下しているかどうかを、血液から調べます。
●甲状腺自己抗体検査(TRAb)
バセドウ病は、甲状腺にあるTSH受容体に対する自己免疫反応が起こり、そのTSH受容体に対する自己抗体が出現する病気です。この自己抗体(抗TSH受容体抗体、TRAb)が、TSHにかわって甲状腺を常に刺激しつづけるため、甲状腺ホルモンが過剰につくられてしまうのです。
TRAbはバセドウ病の原因物質と考えられており、正常な人は持っていません。バセドウ病を薬で治療すると、TRAbの数値は下がってきます。
●甲状腺超音波検査
甲状腺の大きさや血流を見ます。バセドウ病は甲状腺全体の血流が多くなり、逆に無痛性甲状腺炎は血流が見られないので、鑑別のための材料の一つとなります。
●放射線ヨウ素検査
血液検査を行っても、抗体(TRAb)が見つからない場合などに行われる検査です。
甲状腺に取り込まれるヨウ素と同じ性質を持つ放射線ヨウ素の入ったカプセルを飲み、シンチグラム写真をとります。この画像によって、甲状腺機能の状態がわかります。
バセドウ病か無痛性甲状腺炎かまぎらわしい場合も、この検査によって判別できます。
診断でチェックするバセドウ病の症状
- 疲れやすい
- 首のはれ
- 眼球突出
- 汗をかきやすい
- 毛が抜ける
- 微熱がある
- 月経の不順
- 不眠
- イライラする
- かゆみがある
- 皮フに色素が沈着
- 脈が速い(頻脈(ひんみゃく))
- 胸がドキドキする(動悸(どうき))
- 手足のふるえ
- 筋力の低下
- むくみ
- 下痢
- 食欲の増加、あるいは低下
- 口の渇(かわ)き
- 血糖値の上昇
- 血圧の上昇
- 骨量の低下
- コレステロール値の低下