バセドウ病の症状 ①
若い女性に多い「首のはれ」
ほとんどの人に起こるが、年配者は甲状腺がはれにくい
首の前部の「はれ」はバセドウ病の特徴的な症状で、バセドウ病になると、程度の違いはありますが多かれ少なかれ、ほとんどの人にあらわれます。
特徴
●位置は鎖骨の上
気をつけて見るところは、首の真ん中より少し下で、鎖骨(さこつ)の上あたり。甲状腺はのどぼとけの下にあり、男性は女性よりさらに下にあります。あごの下に異常を見つけ、甲状腺のはれを心配する人がいますが、鎖骨の上でなければ甲状腺の病気とは関係ありません。
●痛みはない
バセドウ病では、はれたところが痛くなったり、のどがつかえるようなことはありません。
●太くてやわらかい
バセドウ病は、甲状腺全体の病気ですので、甲状腺が「びまん状」にはれてきます(びまん性甲状腺腫)。甲状腺全体が、そのままの形ではれてくるため、首全体がふっくらと太くなったように見えます。さわるとやわらかく、しこりは感じません。
●年齢差や男女差がある
一般に、若い人ははれが大きく、高齢者になるとあまり大きくならず、また症状もはっきりしません。男性は甲状腺の位置が低いため、はれてもあまり目立ちません。
●病気の重さと関係しない
はれの大きさと、バセドウ病の症状の重さは、直接はかかわりません。はれが小さくても、重症の場合があります。ただ、はれが大きい人は、治りにくい傾向があります。
甲状腺自己抗体の刺激を受け甲状腺細胞が増えてはれてくる
バセドウ病になると、甲状腺がはれるのでしょうか。
それは、甲状腺にあるTSH受容体を、バセドウ病となる原因物質の抗TSH受容体抗体(TRAb)が常に刺激することによって、甲状腺ホルモンがどんどん作られ、増えてくるためです。
そして、甲状腺内の血管細胞も増えるので血流が多くなって、甲状腺全体がはれてくるのです。
MEMO
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メルセブルグの三徴
「首のはれ(甲状腺腫)」、「眼球突出」、「速い脈(頻脈(ひんみゃく))」の3つは、バセドウ病を代表する症状で、「メルセブルグの三徴」といいます。
これは、1840年に、ドイツのメルセブルグ地方に住んでいた医師、カール・フォン・バセドウによって報告されたものです。バセドウ病を検査する方法もなかった時代には、こういった症状から診断するしかなかったのです。