橋本病の症状 ①
病気を見つける手がかりとなる「首のはれ」
「はれ」は、かたくときに「しこり」ができる
甲状腺の病気にとって、首のはれは異常を知らせるサインとなります。特に橋本病の場合は重要です。
橋本病は、初期はほとんど症状がありませんが、首のはれだけは認められます。首のはれは甲状腺がはれていることを示しますので、病気を見つける手がかりとなるのです。
特徴
●のどぼとけの下
橋本病の首のはれの位置は、基本的にはバセドウ病と同じです。鎖骨(さこつ)の上、のどぼとけの下あたりがはれていないかどうか見てみましょう。
●大小さまざま
甲状腺が破壊されて逆に委縮(いしゅく)しているものや、見ただけでわかるほど大きなものまで、さまざまです。
●機能とは連動しない
はれが大きいからといって、機能低下がひどくなるとは限りません。ふつうより小さくなっているのに、機能低下が激しくなる場合もあります。
●痛みや詰まりはない
はれが大きくなっても、ふつう痛みはありません。下を向いたとき、少し圧迫感がある程度です。急に大きくなり痛む場合は、橋本病の急性憎悪(ぞうあく)が考えられますので、医師を受診しましょう。
また、はれがかなり大きくなると、気管が狭くなってくることがあり、ときどき、のどが詰まったり、ものが飲み込みにくいと訴える人がいます。
●かたくゴツゴツする
はれは、橋本病もバセドウ病も、甲状腺全体に広がる“びまん性”(全体に広がる)のはれですが、違いもあります。バセドウ病のはれは、やわらかく、表面はなめらかですが、橋本病のはれは、表面がゴツゴツして、かたくなり、ときにはしこり(結節)状になります。
●薬が効く
橋本病の場合、はれがよほど大きくならない限り、甲状腺腫そのものへの治療は必要ありません。甲状腺ホルモン剤で、機能低下症の治療をつづけるうち、はれも小さく、やわらかくなっていきます。対照的にバセドウ病のはれは、抗甲状腺薬を飲んでも小さくならない場合が多く、その場合は薬以外の治療が必要です。
●はれだけの場合も多い
ただし、急に腫大(しゅだい)すると、まれに橋本病から発生する悪性リンパ腫の場合もあります。