しこりが独自にホルモンをつくる甲状腺機能性結節(プランマー病)

甲状腺ホルモンは、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって、合成・分泌がコントロールされています。
ところが、TSHの働きかけなしで独自にホルモンをつくる結節(しこり)が甲状腺にできることがあります。
このしこりがだんだん大きくなると、必要以上の量のホルモンをつくるため、機能亢進症になります。これが「甲状腺機能性結節(プランマー病)」です。
プランマー病の機能亢進症状は、バセドウ病とくらべると軽い傾向があります。
プランマー病では、TSHが機能しなくなるため、しこりの周囲の甲状腺組織はホルモンをつくらず、休眠状態になってしまいます。しかし手術でしこりを取り除けば、TSHの刺激によってホルモンづくりを再開します。

検査・診断

血液検査では、甲状腺ホルモンやTSHの量を調べます。TSHは低い数値でも、甲状腺ホルモン(T4、T3)は正常という場合もあります。バセドウ病ではないため、自己抗体(TRAb)は陰性です。
さらに、シンチグラム写真を撮り、しこりの部分だけにヨウ素が取り込まれていることが確認できれば、診断が確定します。

治療

抗甲状腺薬を服用すると、ある程度の効果は見られますが、完治は期待できません。原因はホルモンをつくるしこりにあるわけですから、しこりだけを切除する手術をします。アイソトープ治療を行う場合もあります。

脳の腫瘍がTSHを過剰に分泌する甲状腺刺激ホルモン(TSH)産出腫瘍

TSHは脳下垂体から分泌されますが、この下垂体の前葉に腫瘍(ほとんどは良性)ができて、TSHが過剰に分泌されるのが「甲状腺刺激ホルモン(TSH)産出腫瘍」です。下垂体腫瘍の0.5%で、比較的まれな病気です。
TSHの量が多いため、そこから受ける刺激も強くなり、甲状腺がホルモンをつくりすぎてしまうので、機能亢進症となります。
きわめてまれな病気ですが、TSHが抑えられない状態になっている場合は要注意です。

治療

抗甲状腺薬を服用して、血液中の甲状腺ホルモン濃度を正常にしてから、手術によって下垂体の腫瘍を摘出します。

医療法人社団金地病院