甲状腺ホルモンは“元気の源”多くても少なくても影響が出る

甲状腺ホルモンは、新陳代謝を活発にし、心身の働きを高める“元気の源”となるホルモンです。このホルモンがあるからこそ、私たちは、健康が維持できるのです。
ただし、いくら元気の源といっても、バランスは大切です。甲状腺ホルモンは、多すぎても少なすぎても、さまざまな臓器に影響をあたえます。

過剰になっているときの影響

●心臓

甲状腺ホルモンは心臓に働きかけ、動きを活発にしますので、脈拍が速くなったり、動悸(どうき)や息切れがするようになります。

●精神・神経系

甲状腺ホルモンには、自律神経(交感神経)を活発にする働きがありますので、過剰になると体温が上がって微熱が出たり、汗が多くなります。
また、食欲が高まりよく食べますが、やせてきます。小腸の吸収がよくなり、血糖値が上がったり、排便の回数が多くなります。
疲れやすい、イライラして落ち着きがない、集中力がない、といった状態になることもあります。

●骨

甲状腺ホルモンには骨をとかす働き(骨(こつ)吸収)があり、過剰になると、骨形成が骨吸収に追いつかず、骨のカルシウム量が減ってきます。

不足したときの影響

甲状腺ホルモンが不足すると、過剰になっている場合とは正反対の影響があらわれます。

●代謝が悪くなる

食欲がなく、食べないのに太ってくる、便秘をする、体温が低く寒がりになって、汗もかかなくなる、といった状態になります。
何をするにもおっくうで無気力となり、“うつ”状態になることもあります。疲れが取れず倦怠感があり、眠気のために一日中うつらうつらすることもあり、動きもにぶくなります。

●成長や発達の遅れ

甲状腺ホルモンは、子どもの成長や発育を調節するため、不足すると深刻な影響が出ます。
赤ちゃんの脳が発達するためにも甲状腺ホルモンは欠かせません。生まれつき不足している新生児は、クレチン病(先天性甲状腺機能低下症)といって早期に甲状腺ホルモンを補う治療を始めないと、知能障害や成長障害を起こします。
また、成長期の子どもに甲状腺ホルモンが不足すると、身長が伸びなくなります。

医療法人社団金地病院