異常の起こり方で3種類に分けられる

甲状腺はわずか15g前後の小さな臓器にもかかわらず、さまざまな病気が起こります。バセドウ病や橋本病が知られていますが、ほかにも多くの種類があります。
甲状腺の病気をタイプ別に見ると、大きくは次の3つに分けられます。

甲状腺機能が亢進する病気

甲状腺の機能とは、ホルモン分泌のこと。血液中の甲状腺ホルモンが多くなりすぎる病気が「甲状腺機能亢進(こうしん)症(甲状腺中毒症)」です。
甲状腺ホルモンは体中の細胞に作用して代謝を調節しているため、過剰になると全身の新陳代謝が活発になりすぎて、脈が速くなる、体重が減ってくる、手指がふるえる、汗が多くなる、といった症状があらわれます。
代表的な病気はバセドウ病で、ほかに無痛性甲状腺炎や亜急(あきゅう)性甲状腺炎などがあります。無痛性甲状腺炎は、その名の通り痛みがありません。一方、亜急性甲状腺炎は高熱や痛みをともない、ウイルスなどの感染が病因と考えられており、まったく別の病気です。
また、妊娠すると胎盤を作るホルモン(hCG)が甲状腺を刺激し、一時的に甲状腺機能が高くなる妊娠性甲状腺機能亢進症があります。

甲状腺機能が低下する病気

甲状腺機能亢進症とは逆に、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなるのが「甲状腺機能低下症」です。全身の代謝や臓器の働きが弱まり、無気力で疲れやすい、まぶたがむくむ、寒がりになり体重が増える、動きがにぶい、記憶力が低下する、便秘、声がかすれるなど、甲状腺機能亢進症とは正反対の症状があらわれます。
代表的な病気は橋本病(慢性甲状腺炎)で、ほかに特発性粘液水腫(とくはつせいねんえきすいしゅ)などがあります。

甲状腺に腫瘤ができる病気

腫瘤(しゅりゅう)とは「しこり」のこと。甲状腺にしこりができる病気を、「結節(けっせつ)性甲状腺腫」といいます。しこりのほとんどは良性ですが、悪性の場合もあります。
良性のものには「ろ砲腺腫」や、細胞の数が増えること(過形成(かけいせい))によって複数のしこりができる「腺腫様(せんしゅよう)甲状腺腫」や結節中に液体がたまる「のう胞」などがあります。
悪性のものには、「甲状腺がん」と「悪性リンパ腫(甲状腺原発)」があります。甲状腺がんは、比較的経過のよいものから予後(よご)のよくないものまで、何種類かあります。

医療法人社団金地病院